岡本 いとうレディースクリニックさんは、今年の8月2日に開院されたばかりだそうですね。
伊藤 ええ。診療科目は婦人科・産科・内科でして、主に更年期・思春期相談、子宮がん・乳がん検診、不妊相談などに対応しています。
岡本 院長がこちらを開院されるまでの経緯をお聞かせください。
伊藤 高校時代に産婦人科医になることを決意し、大学は医学部に進むことにしました。ちなみに当時はまだ女性の産婦人科医が非常に少なかったこともあり、大学に入ってみると、女性の学生は5名しかいなかったんですよ。
その後、私は大学病院や県立がんセンター、前橋日赤病院などでの勤務を経て、いとうレディースクリニックを開院したというわけです。
岡本 こちらの診療時間は?
伊藤 月〜土曜日の午前9時から午後1時までは、予約なしの自由診療。月〜木曜日の午後3時から午後6時までは、予約診療を行っております。加えて、土曜の午後2時から午後5時は電話相談室を開いているんですよ。産婦人科というのは、来院しにくいと感じる方が少なくないと思います。そのために電話専用の相談も受け付けているというわけです。
岡本 なるほど。テレビや新聞等で10代の中絶が増えているとよく報道されていますし、密かに性に対する悩みを抱えておられる方は多いのでしょうね。 伊藤 そうですね。10代の女の子たちには、避妊の知識がなさ過ぎるのが現状です。学校の性教育でも、一般的に具体的な避妊の話まではしていないようです。
岡本 学校の性教育では「寝た子を起こすようなこと」という風潮もあるのでしょうね。避妊だけでなく、エイズなどの問題もありますし、子どもたちの性に関する悩みは現在多様化しているでしょう。子どもたちを悩みから解放させてあげるのは、学校や病院の先生をはじめとする大人の責任だと思います。その点、こちらの医院は院長が女性ということもあり、気軽に相談に訪れる方も多いのではないですか。
伊藤 開院以来、「地域の皆さんに気軽に相談に来ていただく」ということは、当院のモットーになっています。10代の若い方には妊娠してからはもちろん、妊娠する前にも気軽に来院してもらえればと考えているんです。当院では早期発見・早期治療を心掛けています。 また現在、更年期障害などで悩みながら、誰にも相談できなくて苦しんでいる大人の方も多いんですよ。今は、昔のような隣近所の付き合いが減ってきているでしょう。1人で閉じこもって落ち込んでいては、ますます悩みは深まるばかりです。「ちょっと近所に話をしに行く」という気軽な感じで、当院へ来ていただきたいですね。
岡本 いとうレディースクリニックさんは、患者さんの精神的な支えにもなっているわけですね。
伊藤 悩みを1人で抱え込まず、他人に話をすることは非常に大切なことです。実際に「先生に話をしただけで元気になりました」とおっしゃってくれる患者さんもいて、そんなときは私自身も本当にうれしいですね。この仕事をしていて良かった、と思います。
岡本 産婦人科医としての一番のやりがいは何ですか。
伊藤 出産というのは、感動的なものです。何度出産に立ちあっても生命の誕生は素晴らしいと感じます。その素晴らしい瞬間をお手伝いできるのですから、私は産婦人科医ほどやりがいのある仕事はないと思いますね。
岡本 では最後に、今後の展望をお聞かせください。
伊藤 患者さんの中には相談というより、おしゃべりに来ておられる方もいらっしゃいます(笑)。これからもそんな風に、気軽に地域の方々が来てくださる医院でありたいですね。若い患者さんは比較的まだ多くありませんので、若い方に相談に来ていただくことが今後の課題です。また、どうしても来にくい方や遠方にお住まいの方は、電話相談室を気軽に利用していただければと思います。当院はまだスタートして間もないですので、患者さんの声に耳を傾けながら、末永く地域医療に貢献できるように頑張りたいですね。
岡本 私も応援しています。本日はありがとうございました。 |