三ツ木 まずは、伊藤院長の歩みからお聞かせください。
伊藤 宮城県に生まれ、高校を卒業後、一度は地元の大学に進学しました。しかし、当時はちょうど学生運動の時代だったこともあり、地元の大学は途中で辞めることにしたんです。その後、群馬大学医学部に進みました。以来、医療の世界一筋に歩んでいます。
三ツ木 耳鼻咽喉科を選ばれたのはなぜなのですか。
伊藤 耳鼻咽喉科を専門とされている、とても素晴らしい先生との出会いがあったんです。私もその先生のようになりたくて、耳鼻咽喉科を選択しました。
三ツ木 なるほど。ところでこちらの医院は、今年5月に開設されたばかりだそうですね。
伊藤 ええ。私は今年の3月31日をもって鶴谷病院耳鼻咽喉科部長を退職し、独立しました。以前私は群馬大学にも25年間勤務しており、講師として研究、診療、そして学生・看護師などの教育を行っていたんです。そうした経験を地域の皆さんとの距離が近い「開業医」という形で生かしたいと思い、当医院の開業を決意しました。
三ツ木 確かに一般の患者さんにとって、大学病院というのは医院に比べ敷居が高いように思います。
伊藤 大学病院は設備面においては非常に充実していますが、その分検査も多く、治療費が高くなってしまいます。当医院にいらっしゃる患者さんの中には、治療費の面で大学病院には行けず、かといってこれまでの医院では症状が治らなかったという方が少なくないんです。私はこれまでの経験を生かした治療はもちろん、患者さん一人ひとりにきちんとした説明をすることにも力を注いでいます。長年症状に苦しんでおられた方が、当医院に来院されたことを機に「安心感」を抱くようになる――当初は不安げだった表情が安心されて徐々に明るくなるのを見ると、私自身も本当にうれしくなりますね。
三ツ木 スタッフの方に普段おっしゃっていることは何でしょう?
伊藤 とにかく「患者さんを大事に」ということです。気分を害するような応対は絶対にしないようにと話しています。 また当医院には、お子さんが病にかかり、付き添いで来院されるお母さんも多いんですよ。お母さんにとって子どもというのは、自分自身よりも大事な存在ですから、とても心配されている。お母さんに安心してもらうためにも、私どもは自分の子どもを診るつもりでお子さんと接するようにしています。
三ツ木 患者さん本位の姿勢を大切にされているのですね。
伊藤 ええ。マニュアル通りの対応をしていては、患者さんも安心されないでしょうし、治療もうまくいくとは思いません。患者さんとじっくりコミュニケーションをとり、一人ひとりに合った診療をすることが肝要だと考えています。
三ツ木 最後に、今後の展望を。
伊藤 まだ開院して間もないですし、経営の面で不安はありますが(笑)、患者さんに喜んでいただくことを第一にこれからも頑張っていきたいですね。一度来てくださった方に「また来たい」と感じていただける、そして知り合いの方を紹介したいと思っていただけるような医院づくりを続けていきます。
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